避難設備・器具のしくみと、その使用方法について
避難設備・器具の具体的なしくみと使用方法及び使用上の留意点につきまして、順次説明したいと思います。
まず、避難はしごです。避難はしごには固定はしご、立てかけはしご、つり下げはしごがあります。さらに固定はしごには、伸縮式、折りたたみ式、収納式のものがあります。同様に、立てかけはしごとつり下げはしごにも色々なものがありまして、避難はしごと呼ばれるものだけで、11もの種類があります。
まずは、自分の働いている職場に避難はしごがあったなら、どのようなはしごで、どのように使うかを確かめることですね。比較的多く設置されているのが、つり下げはしごで折りたたみ式のものです。
このはしごはつり下げ金具を窓枠等に懸けて、折りたたまれているはしごを下ろすものです。このはしごは通常は箱の中に入っていまして、窓の近くに置かれています。そして必ず「避難器具」という標識を近くにつけなければなりませんので、その標識で設置箇所が分かります。
新宿の歌舞伎町で平成13年の9月に雑居ビルで火災があり44名の方が犠牲となりましたが、この火災の建物にこのはしごが設置されていました。火災の発生した雑居ビルは階段が一つしかありませんでしたが、階段にビールケースやダンボール箱がありまして、階段は炎と煙にまかれていました。唯一、この避難はしごが避難するための手段でしたが、はしごをつり下げるはずの窓は、内装でふさがれ、結局、この避難はしごは使えず、多数の犠牲者がでました。設置しても後の維持管理を適正に行わなければ、何もならないという典型的な例ですね。
次は緩降機の説明です。緩降機は降下速度を一定の範囲に調整し、避難者が他人の力を借りずに自重で降下できる器具で、調速器、安全環、着用具、ロープで構成されています。室内で、着用具という丸い輪に体を固定します。そして窓からおりますと、調速器という装置が働いてゆっくりと降りることができるものです。この装置はロープ一本で上の階から一人ずつ降りることができるものです。使用上の留意点としては、安全環をしっかりとしめつけること、着用具は脇の下に通してしっかりとしめつけることですね。
続いて救助袋です。救助袋には垂直式と斜降式のものがあります。斜降式の救助袋は袋本体と、救助袋を地面に固定するロープと固定用のフックから構成されています。地面には固定環というものが設置されています。
この救助袋は、現在では余り設置されてはおりません。何故なら救助袋を設置するためには、上から袋本体を下ろし、かつ、地面で固定しなければなりませんので、かなり訓練しないと使用が難しい器具だからです。
昭和47年の5月に大阪の千日デパート火災という火災がありました。この火災では118名もの多数の方が犠牲となりました。このビルには斜降式の救助袋がありまして、一応伸ばしましたが、訓練不足のために正確に固定することができませんでした、本来は救助袋の中に入って滑り降りるところ、多数の避難者がいたために、待ちきれない人が救助袋の外側を伝わって降りようとして落下したという悲惨な光景もあったと記録されています。
この場合にも、折角設置されていたものが的確に使用されなかったという典型的な例ですね。
最後の手段であるからこそ、日常の管理と使用方法を熟知することが必要ですね。